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[楽譜] シューベルト:ソナタD154、アダージョD349(佐藤卓史による補筆完成版)

¥1,650 税込

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シューベルトをライフワークとする佐藤卓史による、未完作品の補筆版楽譜。

[内容]
フランツ・シューベルト:
ソナタ ホ長調 D154 (ソナタ第1番D157第1楽章の初稿)
アダージョ ハ長調 D349
(未完・佐藤卓史による補筆完成版)
Franz Schubert:
Sonata in E major D154, Adagio in C major D349 (completed by Takashi Sato)

[仕様] アルバムリーフ版(無製本) 楽譜12ページ・表紙・解説付き
[難易度] ★★★☆☆

はじめに(佐藤卓史)
 フランツ・シューベルトは、おそらく音楽史上最も「未完」作品の多い大作曲家である。一つの作品を完結させる前に次の作品に取りかかり、前の曲のことはしばしば忘れてしまった、と伝えられており、過去作を整理する習慣もなかったので、他の作曲家であれば自身の手で破棄されたかもしれない大量の未完作品が残されることとなった。また死後、次兄フェルディナントが自筆譜を大切に保管しておいたために、断片を含む多くの草稿が散逸を免れたという事情もある。
 未完のピアノ・ソナタについては、パウル・バドゥラ=スコダをはじめとする補筆完成版が多数発表されているが、ソナタ以外の未完のピアノ曲はほとんど顧みられることがない(D154の補筆は発表されていない)。しかしその中にも素晴らしい楽想が溢れており、演奏されずにおくのは非常に惜しいことである。そのような思いから、未完作の補筆を試みることにした。
 天才シューベルトの作品に筆を足すことはあまりにも困難な仕事であったが、シューベルトの主題に基づく自由な創作とでも捉えていただければ幸いである。この楽譜が、シューベルトの知られざる未完作品に光が当たるきっかけとなることを願う。

楽曲と補筆に関する解説(佐藤卓史)
ソナタ ホ長調 D154 (ソナタ 第1番 ホ長調 D157 第1楽章の初稿)
 ・原資料 自筆譜(ウィーン市立図書館所蔵)
 ・佐藤卓史補筆版初演 2020年9月6日、音楽の友ホール
 1815年2月11日の日付を持つソナタ断片D154は、1週間後の2月18日に作曲開始したD157の第1楽章の第1稿とされているが、その間にピアノのための10の変奏曲D156を完成していること(2月15日)、また両者に差異が大きすぎることから、別々のドイチュ番号を与えられている。D154の自筆譜は展開部の終わり近く(D157の並行箇所と比較すると残り1小節の時点)で途切れており未完となっているが、中段箇所は五線紙の末尾に当たるため、続きのページは書かれたものの散逸したとも考え得る。
 補筆にあたっては、D157のディテールを参考にしつつ、再現部は一時的に下属調(イ長調)へ転調することで主調を保つ方法を採った。注意したのは音域の問題である。展開部で最高音Fを頻繁に使用しつつそれを越えないのは、おそらく当時普及していたFからFまでの5オクターヴの楽器を念頭に作曲されたからではないかと考えたのだが、D157の再現部ではその半音上のFisが登場し、さらにコーダではAまで出てくるので、実際のところどんな楽器を想定して書かれたのかは不明である。今回の補筆ではFisを最高音に設定した。

アダージョ ハ長調 D349
 ・原資料 自筆譜(ウィーン市立図書館所蔵)
 ・佐藤卓史補筆版初演 2020年9月6日、音楽の友ホール
 メヌエットD41-21自筆譜の裏面、D459A-3(アレグロ・パテティコ)の最終小節を書き終えるやいなや、同じ段の続きに書き始めたのがこのアダージョである。D459A-3の大部分は失われているので、いったい何のつもりで書いたのかは不明だが、初期のシューベルトが小品集というジャンルを手がけていたとは考えにくく、ひとつのソナタの第1楽章と第2楽章(緩徐楽章)という関係性とみるのが自然だろう。D459A-3と同じ五線紙には第31小節までが書かれ、第32小節以降は別の五線紙に書き付けられている。その末尾、第84小節まで書いたところで「V.S.」(素早くめくれ)と指示があるのだが、めくった裏面には歌曲「憧れ」D516のスケッチが記されていて、第85小節以降は行方不明(未完)である。
 構成でいえばABA'B'のB'部分の途中までが残されていることになる。Aは葬送行進曲にも似た荘重な和音連打と、それに3音の動機が応えるように進行していき、一方でBは付点リズムがスキップあるいはスウィングのように続く、いくぶん軽快で浮遊感のあるセクションである。Aがハ長調、Bがヘ長調で提示されるのに対し、A'は変イ長調、B'はホ長調といった遠隔調(長3度関係調)をとる。B'の中断箇所の続きはBの並行箇所を参照してある程度復元可能である。しかし曲そのものがどのように終わるべきかは議論の余地が残るところだろう。
 今回の補作にあたっては、ソナタに属する楽章の通例として開始の調性に戻るのが普通と判断し、Aを参考に新たにハ長調のA''を設定し、そこへうまく着地できるようにブリッジ部分に変更を加えた。つまり全体としてはA-B-A'-B'-A''というロンド形式風の構成となった。

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